Wetton脱退でショックを受けた全世界(特に日本?)のASIAファンが期待と不安で入り交じりながら、聴いた最初で最後のASIAのアルバムである。 私は、しかしこのアルバムが好きである。 WettonのようなハッとさせるようなメロディをもつHRではないが、PayneとDownesの創り出した曲も捨て難い。 メンバーが固定されてなかったせいか、アルバムの内容は散漫勝ちである。それもマイナス評価なのかもしれないが、しょうがないように思える。 ただ、駄曲の入り交じる中で佳曲の存在も否定できないのである。 Who Will Stop The Rain?、Someday、Little Rich Boy、Lay Down Your Arms、A Far Cryなどなど自分なりに優れた曲と感じた曲もあるのだから。 この新生ASIAの良さは、続くARIAで証明されると思う。 それともファンは、ASIAのゴタゴタに愛想つかしたのかもしれないのかな?
大人の事情が複雑に絡まり合ってASIAの復活が頓挫しまくる中、オリジナル・メンバーの中で唯一再結成に意欲的だったジェフ・ダウンズ(Key)が主導権を握る形で再編されたASIAが’92年に発表した復活作(通算4作目)。ちなみにジャケット担当はロドニー・マシューズ先生。ラッセンじゃないよ。 レコーディング・メンバーとして、以後長らくジェフと共にASIAの看板を背負うこととなるジョン・ペイン(Vo)以下、アル・ピトレリ(G)、スティーヴ・ハウ(G)、カール・パーマー(Ds)らの名前がクレジットされていますが、バンドとしての実態はほぼなかったそうで、実質的にはジェフ/ジョンのプロジェクト体制での再始動。そうした経緯ゆえ一部熱心なファンから「ASIA復活は待望してたけど、これじゃない」と反発を買い、厳しい評価に晒され続けてきたわけですが、本作を冷静にジャッジすればそんなに悪い作品ではない…どころか水準を軽く超えて来る内容に仕上がっていることがお分かり頂けるのではないかと。 英国シンガーならではの気品と暖かみを感じさせるペインの歌声を生かした楽曲は、プログレ・ハード然とした重厚な雰囲気を纏った“SOMEDAY”、民族音楽的な侘しい詩情漂わす“THE VOICE OF REASON”、高揚感を伴うポップ・チューン“LAY DOWN YOUR ARMS”等々、AOR/産業ロック方向への接近をつまびらかにしつつも、しっかりとASIAらしさもキープ。特にワビサビの効いた曲展開とアレンジ、美しくも切ない泣きのメロディが胸を打つ“FAR CRY”は、初期作の名曲群にも引けを取らないクオリティを有していますよ。 過小評価に泣かされているように思えて仕方がないので、是非お試し頂きたい1枚です。