More Than A Feelingのような決定的な曲はないが、どの曲も物凄い完成度を誇っていて、 これぞトム・ショルツ!アメリカン・ロック!産業ロック!という感じ。 カッティングの気持ちいいDon't Look Back、 屈指の名バラードA Man I'll Be There等はいつ聴いても新鮮そのもの。 唯一インターバルが短く出された作品(笑
個人的に、BOSTONの全楽曲の中で最も愛して止まない名バラード“A MAN I'LL NEVER BE”を収録している、'78年発表の2ndアルバム。(邦題は『新惑星着陸』) 乾いた哀愁に軽快なノリの良さ、スペーシーな透明感と雄大なスケール感を兼ね備えたメロディアス・ロック・サウンドはそのままに、前作において要所で見せ場をさらっていたハモンド・オルガンの存在(=プログレ・ハード色)が後方へと下がり、よりノーマルなアメリカンHR路線へと歩みを進めているが、質の高さは相変わらず。 「ノー・シンセサイザー」「ノー・コンピューター」と誇らしげにクレジットされている通り、トム・ショルツ拘りのサウンド・メイキングが全編に渡って炸裂しまくった本作は、Gの歪ませ方から重ね方、ボーカル・ハーモニーの配置、アコギやKeyの使用タイミング等、細部の細部に至るまで徹底的な作り込みがなされており、これ聴いてると「メンバーは曲作る時に設計図を用意してたんじゃね?」と思わされるほど。流石、HR/HMシーンきっての理系ロック・バンド。 ロックならではの熱量の迸りが殆ど感じられない作風は評価が分かれるところかもしれないが、さりとて本作に機械的な冷たさや無機質さは皆無。心打つエモーションと人肌の暖かみを備えたメロディの素晴しさは唯一無二であり、特にその代表格と言えるのが前述の名バラード④。この曲のクライマックスにおいて「ここぞ!」というタイミングでハモンド・オルガンが切り込んでくる場面は、何度聴いても胸を締め付けられる程の感動を味わえます。その④をハイライトに、優れた楽曲が敷き詰められたアルバム前半の構成は完璧と評しても過言ではないような? デビュー作と共に、これまた必聴のBOSTONの名盤。