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Luciferic / Earth Infernal
スピード・ナンバーだって当然素晴らしいのですが、
煮え切らない憂いがモヤ~っと霧のようにまとわりつく
このメロディアスなミドル・チューンが醸し出す
SATANらしさにも大いにグッとくるものあり。

火薬バカ一代 ★★★ (2022-06-14 23:21:25)


Earth Infernal

イギリス全土のロックダウン、新型コロナウィルスに感染したサウンド・エンジニアが危篤状態に陥ったり(後に無事回復)、メンバーの負傷やレコーディング・システムのクラッシュ等々、山盛りに重なった災難を乗り越えてSATANが'22年に発表した8thアルバム。
結果的に前作から4年のブランクが空いてしまったものの、不動のラインナップは健在。お馴染みエリラン・カールトンの手による死神ジャケットをフィーチュアし、ブライアン・ロスのニヒルなVoと、切れ味鋭く斬り込むスティーヴ・ラムゼイ&ラス・ティッピンズ鉄壁のツイン・リードを乗せて、グレアム・イングリッシュ、ショーン・テイラーのリズム隊が突っ込み気味に駆け巡るSATAN流HMサウンドには今回も微塵の変化も見受けられません。
「変化なし」というとネガティブなイメージを抱く場合もありますが、SATANに関しては完全なる誉め言葉。ミュージシャンたるもの経年による嗜好/技量の変化と無縁ではいられませんが、復活前と復活後のサウンドにギャップを感じさせず、改名や解散期間を挟んで尚、ここまで80年代から地続きの音を出し続けるバンドは寧ろ尊敬に値するというもの。あと本作を聴いていて実感したのは、アナログなラフさを残したプロダクションがSATANらしさの創出に大きく貢献している点で、コロナに倒れたエンジニアの回復を待つために、バンドがわざわざレコーディング作業を遅らせたのも納得できるというものですよ。
頭とケツを〆るスピード・ナンバー①⑨から、いかにも英国産な憂いを帯びた⑥、重厚に本編を盛り上げる⑩に至るまで、SATANの帰還を力強く宣言する力作に仕上がっています。コロナが収束し、一日も早く来日公演が実現することを願って止みません。

火薬バカ一代 ★★★ (2022-06-13 23:40:29)


Earth Infernal

復活後の第四作ですかね。ワタシはSATAN信者ですので、今作も諸手を挙げて絶賛いたしますヨ。
このどよーんとした英国の雰囲気!いやーたまらないですね!彼らこそNWOBHMの当時の雰囲気を
最も再現していると信じて疑いません。いつまでもメインに出てこない薄暗いサウンド。これこそ
ヘヴィ・メタルなのですよ!ツインギターと回転の速いリフの切れ味は格別です!奥行きもあるし、
スケールの大きさも感じます。路線は一緒と言えば一緒なのだけども、曲作りの変幻自在さは
相変わらず玄人をも唸らせる奥深さを感じますね。褒めすぎ?いえいえマジで聴いてみなさいって!

cri0841 ★★★ (2022-04-28 22:17:49)


Earth Infernal

オープニングナンバーから『COURT IN THE ACT』時代を想起させるような楽曲で幕開け、その狙い澄ましたサウンドは往年のファンを立ち上がらせるには十分なインパクトを誇り、今作に対する期待値も上がります。先行公開された②への流れも悪いわけがなく、懐古主義の再結成組との違いを明確に見せつけていますね。
自らのスタイルとも言える荒々しいリフワークと哀愁のあるメロディの絡みは、若い人の耳にも刺激的に届くでしょう。生々しい音質も手伝い、当時の空気を醸し出しているのも正解、少々古くさく聞こえるかも知れないが、これぞNWOBHMな音色になっている。
スリリングなツインリードの応酬、そのスリルは一寸先の展開を読ませない緊張感が漲り、生々しい音像も手伝い過去最高と呼んでも大げさではないSATANスタイルを披露している。
老いて益々盛んなるべし、大人げないNWOBHM印満載の古典メタルに興奮冷めやらぬと言ったところでしょう。
憂いのある沸騰型ヴォイスがよく似合うビショビショに濡れた古典サウンドの旨味、ブライアン・ロスが唄う様にマニアならずともグッと引き寄せられるでしょう。
自分たちの型を持っているバンドは強い、独自性のあるアングラ臭溢れる地下室サウンド、そのノリを現代のテクノロジーをもって復活させているのだから通用しない分けがない。古くさい音色ながらも強烈な吸引力を持つ魔力的サウンド。SATANサウンド健在を強く印象つけました。あら探しは厳禁ですけどね。

失恋船長 ★★★ (2022-04-03 13:16:17)


Early Rituals

憂いのある沸騰型NWOBHMサウンドが売りのバンドだったSATAN。今作は、いずれもデモ音源をまとめて製品化したモノ。①から④が幻のファーストデモ、⑤から⑩が1stのデモ、ラスト4曲がEP『Into the Future』の叩き台となるDirt Demo '86でデモというマニア泣かせのコンピ作。個人的にはシンガーにロブ・ハルフォードタイプのトレバー・ロビンソンがいた時代のファーストデモに興味が注がれます。
ハッキリとスラッシュ勢に影響を与えたトレバーの歌い回し、これを聴けばデイブ・ムステインやジェームス・ヘッドフィールドを思い出しますよね、さらにはキレのあるスピーディーな楽曲群の魅力たるや、妖しげでキレのあるリフワークは鋭い刃を立て聴き手の感性に切れ込み理性を支配、ミステリアスなムード満点の英国サウンドが鈍色の光を放ち魔界へ誘います。
このデモ音源集は、NWOBHMの歴史としても、スラッシュメタルに与えた影響としても見落とされているというのか、軽視されているSATANの重要性を説いていますね。
勿論荒々しい1stのデモも魅力的だし、マイケル・ジャクソン時代も、こういう形でも良いので取り上げて欲しいと思います。メイデンが余に残したThe Soundhouse Tapesも強力だが、そのメイデンの遺伝子を組み込んだファーストデモも同様に、NWOBHMのアイコンになるインパクトの強い楽曲を聴けるのが嬉しい。
継続した活動ができずNWOBHMの波を活用できず、80年代中期に沈んだバンド。それだけに雑誌のフォローも受けられず、残念ながら日本ではイマイチ知名度が上がりきらない彼らですが、若い人にこそ聴いて欲しいリアルNWOBHMサウンドを余に提示したバンドのデモ集。
英国的な湿り気たっぷりのサウンドは、どこか煮え切りません。そのモヤとした音質の向こうから妖しげに響くサタニカルな味わい、それはおどろおどろしいだけではないロックなダイナミズムと切れ味があり、常に聴き手を鼓舞します。魔界降臨という言葉が最も似合うバンドです。

失恋船長 ★★★ (2022-02-12 17:38:22)