基本は霊性の高い、幽玄でアトモスフェリックな音なんですが、抽象的で深遠なムードをしっかり保った上で、攻撃的な刻みリフであるとか、KRALLICEやDER WEG EINAR FREIHEIT並にメロディアスな、浴びせるようなトレモロリフであるとか、実体的なドラマ性を感じさせるフレーズもかなり多用しているのが特徴。そのせいかこの手のブラックでも最高クラスに劇的な仕上がり。魂が引き千切られるかのようなヴォーカルの絶叫もまた凄絶。
個人的に感動すら覚えたのは6曲目、「Manifest of the Crestfallen」ですね。冒頭のメタリックな攻撃性を剥きだしにしたリフを伴う畳み掛けからしてかっこいいですし、異様なくらいメロディアスなトレモロも物凄く印象に残る。フォーキッシュなキーボードをフィーチャーした叙情的なメロディや寒々しいアルペジオを突き破る刻みリフなど、展開の一つ一つがいちいちかっこよく、このハイクオリティな作品の中でも随一の名曲だと思う。