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CHAPTER Ⅰ (Usher-to-the-ETHER)


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CHAPTER Ⅰ

2011年発表の1st。
ブラックっぽくないバンド名ですが、かなり強烈な作品ですね。

まず小フーガをモチーフに、バンドサウンドが不条理で不気味な音を演出するオープニングから只者でない感が半端ないですが、本編は更に濃い。聴き手を洗脳するためだけに、ジャズを通過しました的な気色の悪いグルーヴのあるドラミングに、血に染まったぼた雪を思わせる刻みリフが絡みつく音像だけで、もう邪悪さは特濃。疫病を振りまくようなメロディセンスも、そのムードに拍車を掛けてます。

普通、こういうエクスペリメンタルなヴォーカルって奇矯だったり、不気味なパフォーマンスをすることが多いですが、このバンドは泣き気味に叫んだり咳き込んだりはするものの、基本的に真性ブラック譲りのがなり声なのが特徴で、ブラックメタルとしての攻撃性や邪悪さをしっかり貫いているのが素晴らしいんですよね。時折リードギターのメロディに最近のWATAINのような、甘美な邪悪さも感じられますし、1枚目のアルバムにして一級品の音を出せていると思う。

タイプとしては、LUGUBRUMやVED BUENS ENDE辺りのアヴァンギャルドブラックと、WATAINやCODE、CRAFT辺りの北欧ブラックメタルを掛け合わせた感じでしょうか。エクスペリメンタル系の持つ不条理で気色悪いムードと、ブラック本来の残忍さや宗教的な雰囲気を両立させてる作品ですので、ブラック好きは是非。バンド名でスルーするには余りに惜しい世界観を作り上げているバンドです。

Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-12-23 20:34:27)