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Denuntiatus Cinis (Usher-to-the-ETHER)
In Obsecration of Seven Darks (Usher-to-the-ETHER)


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Denuntiatus Cinis

2010年発表の2nd。

意外なEMPERORへの憧憬を見せた3rdとは異なり、この作品は基本的にはプリミティブ・ブラックの系統に属する音ですね。フレンチブラック風の黒いだけでなく、毒も含んだ強烈なメロディを、最もメロディアスな時のANAAL NATHRAKHくらい派手に炸裂させる作風はカルトなのに入りやすいし、白目剥きながら叫んでるような高音絶叫といいRAWなドラムをブチ鳴らして突っ走る疾走パートといい、プリブラでもかっこいい音だと思う。スピーカーで聴いていると、何か邪悪なものが生まれる前触れを感じるような、低音部にうねりのある音質も独特。

また、この作品はプリミティブ・ブラックとしては様々な音楽的要素を取り込み、消化しているのも特徴ですね。LEVIATHANを思わせる、有機的なグロテスクさを感じさせるリフが出てきたり、不吉な音色のキーボードを入れたり、前述の音質とも相俟って「実験的」と呼んでも差し支えないような音だと思う。Ihsahn風の朗唱が出てくるのもプリブラには珍しいかも。ただ、アンビエント風のパートやフォーク風のパートはどうも必要かどうか疑問に感じてしまいますが…それ自体悪くはないけど、プリブラパートの方が圧倒的に魅力的なので、ついつい飛ばしちゃいます。

個人的には、3rdも面白いけど好みなのはこっちですね。有機的な気持ち悪さを表現したアメリカン・ブラックとしては、LEVIATHANに続ける可能性がある有望株なのではないでしょうか。

Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-07-09 11:29:42)


In Obsecration of Seven Darks

2011年発表の3rd。
EMPERORの「Ensorcelled by Khaos」のカヴァー入り。

前作を聴いた限り、このバンドがここまでEMPERORを意識した作風のアルバムを出すって何か意外な感じ。基本RAWで邪悪なブラックなんですが、まずドラムをそれ程前に出さず、ギターの歪みに音を覆わせ、そこから禍々しいトレモロが零れ落ちるようなプロダクションが「In the Nightside Eclipse」期のEMPERORを彷彿とさせますし、呪術的なミドルパートやスラッシーな疾走パートなんかは意識してないと言ったら白々しいほど似てる。ヴォーカルのロングトーンを多用した大絶叫もそっくり。

ただし本家と違い、キーボードよりもRAWなギターを重視して音像を作っていたり、SE的な曲を挟んだりしたりしていて、より地下臭い雰囲気。また前作同様、低音部にグロテスクな雰囲気の「うねり」のようなものが感じられ、それがEMPERORにはない生理的嫌悪感を刺激してきます。EMPERORの皮を被ったLEVIATHANという感じ。ただ、SE的な曲やパートを入れるのはいいけど、2曲目でやるのは少し流れが悪くなってる気がするので、そこだけ少し不満。

という訳で、端的に言えば「EMPERORをカルトに捻じ曲げて解釈した作品」だと思います。カヴァーも独りブラックとしてはかなり様になってる(意外にクリーンが本家並みにかっこいい)し、気になる方は是非チェックしてみては。

Usher-to-the-ETHER ★★ (2011-07-09 11:28:59)