ポーランドのメタル・ゴッデス、マルタ・ガブリエル(Vo)率いるCRYSTAL VIPERが、日本未発売のライブ盤『DEFENDERS OF THE MAGIC CIRCLE:LIVE IN GERMANY』を間に挟んで'10年に発表した3rdフル・アルバム。 元MANOWAR(現ANGEL OF BABYLON)ライノのナレーションに導かれてスタートする、パワフルなOPナンバー②を耳にした瞬間に理解できる通り、本作もまた、猛々しくドラマティックなパワー・メタルという前2作を通じて確立した「型」を忠実に踏襲。収録楽曲はいずれもCRYSTAL VIPER印がクッキリと刻印されているが、個人的には、もろジャーマン・メロパワ風味の③⑨のような疾走ナンバーよりも、猛々しさの中に一抹の東欧的な物悲しさを宿した、②⑤⑧のようなスピードに頼らない楽曲の方がより好みだったり。 男勝りのストロングな歌いっぷりを披露する一方、楽曲にキャッチーさや潤いも付与するマルタ姐さんのパワフルな歌唱も、相変わらず眩いばかりの存在感を放っており、中でもバラード⑥におけるエモーショナルな歌いっぷりは本編の白眉。また、シンガー/コンポーザーとしての実力のみならず、前作の“AGENT OF STEEL”に続いて今回はACCEPTの名曲“TV WAR”をカヴァーする等、「あぁ、この人本当にメタルが好きなんだな」と実感させてくれる選曲センスも素敵だ。 前2作を気に入られた方、及び正統派HM/パワー・メタル好きに安心してお薦めできる良品質な1枚。