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Shores of Sorrow (Usher-to-the-ETHER)


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Shores of Sorrow

2006年発表の1st。

これは鬱ブラックの中でも、割と上級者向けなんじゃないかと思います。よく比較対象としてBURZUMの3rdや7thが挙げられますが、BURZUMと比較しても静的で、風景画めいた作風だと思う。
「burned」のリフ/リズムや「what once shined」の後半の疾走、一部で聴ける叙情的なリードギターなど、動的なパートもあれど、基本的にはスローテンポのリズムにアルペジオや平坦なブラックリフが描く海のような情景に、漣のようにトレモロリフが被さる、動きの少ない作品。

聴いていると、海岸で沈む夕日をいつまでも眺めながら、「ああ、私の人生もあの陽のように沈んでいくんだな…」と思っているような、侘しい気持ちになってきます。
感情表現が行き過ぎてて、逆に滑稽に聴こえてしまう事も多いこのジャンルですが、ヴォーカルはBURZUMのCountの悲痛さとMAYHEMのManiacの歪み感を足したようなかっこいい絶叫で、自己満足に終わっていない表現力があるのが素晴らしい。音質にも変な聴き辛さは無いですし、

ジャンル内でも静的であることを除けば、癖の少ない鬱ブラックだと思う。
入門には適さないかと思いますが、鬱ブラック以外にも葬式ドゥームやプリブラ、ミニマルなジャーマンプログレ等、反復性の強い音楽に普段から慣れ親しんでいる人であれば、敷居はかなり低めかと。
鬱ブラックって、抑鬱された感情をぶちまけるタイプと、静かに風景を描いていくタイプに分かれると思うんですが、この作品は後者ですね。過激さやインパクトを求める分には不向きですが、「ミニマルで、ピクチャレスクである音楽」に魅力を感じているのであれば是非。聴いて凹みましょう(笑)。

Usher-to-the-ETHER ★★ (2010-06-09 18:52:00)